「貸して」と言いそうになって、ぐっとこらえた
「つい手を出してしまう」
子育て中の親なら、一度は経験があるのではないでしょうか。
子どもが何かをやろうとしている。
うまくいきそうにない。
時間がかかっている。
危なっかしく見える。
そのとき、思わず「貸して」「こうするんだよ」と
手や口が出てしまう。
私は3人の子を持つパパです。
先日、次女(小2)が夕飯のお皿を一枚ずつ慎重に運んでいました。
途中でよろけた瞬間、「貸して」と言いそうになった。
でもぐっとこらえた。
そのまま黙って見ていたら、全部並べ終えた次女が
「できた!」と振り返った。
誰に言うでもなく、自分に言い聞かせるように。
その顔を見て、「待っていてよかった」と心から思いました。
この記事では、アドラー心理学の視点から
「見守ること」がなぜ子どもの自信につながるのかを解説します。
なぜ「つい手を出してしまう」のか
手を出す方が、親にとって楽だから
子どもが何かをしようとするとき、
手を出す方がはるかに楽です。
早く終わる。
失敗しない。
ヒヤヒヤしなくていい。
「効率」と「安全」という観点では、
親が代わりにやった方が合理的に見えます。
でも、この「合理性」が
子どもから大切な体験を奪ってしまうことがあります。
「先回り」が「自分でできた」を消す
子どもが「やってみよう」と思う前に親が動く。
子どもがつまずきそうになったら親がすぐ介入する。
この繰り返しが続くと、
子どもの中に「自分でやり遂げた」という体験が積み重なりません。
「どうせお父さんがやってくれる」
「自分がやらなくてもいい」
という意識が育ってしまうこともあります。
「手を出すこと」が愛情から来ていても、
その結果として子どもの自立心や自信を
削っている可能性があることを知っておきたいと思います。
アドラー心理学が教える「見守る」ことの意味
「課題の分離」で親の介入を手放す
アドラー心理学の重要な概念「課題の分離」は、
「これは誰の課題か?」と問い直すことで、
親が子どもの課題に踏み込みすぎることを防ぐ視点です。
お皿を並べる、宿題をやる、友達との関係を解決する。
これらはすべて「子どもの課題」です。
親の課題は、安心して任せられる環境を整えること。
そして、子どもが求めたときだけサポートすること。
「貸して」と言いそうになったとき、
「これは次女の課題だ」と思い出すだけで、
ぐっとこらえることができます。
「見守る」は「放置する」ではない
見守ることと、放っておくことは違います。
「いつでもそこにいるよ」という安心感を保ちながら、
子どもの挑戦を少し離れたところから見守る。
この距離感が、子どもに
「自分でやってみよう」という勇気を与えます。
完全に離れてしまうのではなく、
「必要なときはいる」という存在感を保ちながら待つ。
それが「見守る」ということです。
「自分でできた」が自己肯定感の核になる
アドラー心理学では、
「貢献感」——自分は何かをやり遂げられたという感覚——が
自己肯定感の重要な要素だと考えます。
「自分でできた」という体験は、
親に褒められることとは別の、
内側から湧き出る自信の根っこになります。
誰かに「えらいね」と言われなくても、
「できた!」と思えた体験そのものが、
子どもの中に「自分はやればできる」という感覚を積み重ねていきます。
3児パパが「見守ってよかった」と思えた瞬間
次女の「できた!」
冒頭でも書いた、次女がお皿を並べた夜のこと。
「できた!」と振り返ったその顔が、
誇らしそうで、嬉しそうで、少し驚いているようで。
テストで100点を取ったときとも、
運動会で活躍したときとも違う、
「自分の力でやり遂げた」という顔でした。
手を出さずに待った10分間が、
あの顔を生んだのだと思います。
長女の「自分で調べる」を待った週末
長女(小6)が調べ学習の課題で行き詰まっていた週末のことです。
「お父さん、これどういうこと?」と聞いてきた。
以前の私なら、すぐに説明していたと思います。
でもそのとき「一緒に考えようか、まず自分でもう少し調べてみて」と返しました。
しばらくして、長女が「わかった!これってこういうことだよね」と
自分で答えを見つけてきた。
「そう、よく調べたね」と伝えたら、
満足そうな顔をしていました。
答えを教えることより、
自分で見つける体験の方が、長女の記憶に残ると思っています。
長男の「自分でやる」を尊重した朝
長男(小4)が、ある朝自分で弁当を詰めようとしていました。
不格好でもいい、と思って口を出さずに見ていた。
時間がかかって、少し焦りましたが、待った。
完成したお弁当は確かに不格好でしたが、
長男は「自分で作った」と学校に持っていきました。
帰ってきたとき「全部食べた」と嬉しそうに言った。
自分で詰めたから、余計美味しかったのかもしれません。
「見守る」を実践するための4つのポイント
ポイント1:「これは誰の課題か?」を自分に問う
手を出したくなったとき、
「これは子どもの課題か、自分の課題か?」と一呼吸置く。
子どもの課題であれば、まず待つ。
この一呼吸が、先回りの癖を少しずつ変えていきます。
ポイント2:「失敗込みで任せる」と決める
見守ることへのいちばんのブレーキは
「失敗したらかわいそう」という親の感情です。
「やり直せる失敗は、子どもの学びになる」と決めておくと、
少し手が出にくくなります。
ポイント3:「できた」を一緒に喜ぶ
子どもがやり遂げたとき、
大げさでなくていいので「できたね」と一緒に喜ぶ。
「見ていたよ」「やり遂げたね」という言葉が、
子どもの体験をより深く記憶に刻んでくれます。
ポイント4:「いつでもここにいるよ」を伝えておく
見守る前に「困ったら言ってね」と一言添えておく。
「放っておかれた」ではなく「見守ってもらっている」と
子どもが感じられるかどうかは、
この一言があるかないかで変わります。
「待つ」ことも、愛情の形
手を出すことも愛情。
見守って待つことも、愛情。
ただ、見守った先に生まれる「できた!」は、
手を出して解決した先には生まれません。
子どもは、見守ってもらえた体験を覚えています。
「あのとき、お父さんは待っていてくれた」
その記憶が、いつか子どもが壁にぶつかったとき
「自分にはできる」という根拠になっていく気がします。
今日、一つだけ「ぐっとこらえて待つ」を試してみてください。


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