泳げるようになったら、夏が変わった
今年の夏は、いつもとちょっと違いました。
スイミングに通って、子どもたちが泳げるようになった。
すると「プール行きたい!」「海行きたい!」が止まらない(笑)
去年と変わったのは「泳げるようになった」というただ一点。
それだけなのに、夏の楽しみ方がこんなに変わった。
この変化を見ていて気づいたのは、
「好きだから得意になる」だけじゃなく、
「できるようになったから、もっと好きになる」
という順番もあるということです。
この記事では、アドラー心理学の「自己効力感」と「内発的動機」という視点から、
「できる→好き」の連鎖の仕組みを考えます。
「好きだから得意」だけじゃない、もうひとつの順番
よく語られる「好きだから得意になる」
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、
「好きだからこそ努力でき、得意になる」という流れは
よく知られています。
長男がサッカーを好きだから毎日練習して、
どんどんうまくなっていく——これがその典型です。
この順番は確かに存在します。
でも「できるから好きになる」という順番もある
でも今年の夏、別の順番を目撃しました。
「泳げるようになった」
→「水の中が楽しくなった」
→「もっと泳ぎたくなった」
→「さらにうまくなった」
→「もっと好きになった」
最初から「泳ぐのが大好き」だったわけではない。
「できるようになった」という体験が先に来て、
そこから「楽しい」が生まれ、
「もっとやりたい」につながっていった。
「最初から好き」じゃなくていい
この気づきは、子育てにとって重要だと思います。
「うちの子はこれが好きじゃないから」という判断を
早くしすぎていないか、と。
最初から好きでなくても、
「ちょっとできるようになった」という体験から
「楽しい」が生まれることがある。
「最初から好き」でなければ始める意味がない、ではなく、
「まずやってみて、できた体験から好きが育つ」という
道筋もあるということです。
アドラー心理学が教える「自己効力感」と「できる→好き」の連鎖
「自己効力感」が「もっとやりたい」を生む
アドラー心理学の「自己効力感」——
「自分はできる」という感覚——は、
「もっとやりたい」という内発的動機の土台になります。
「泳げるようになった」という体験が、
「自分は水の中でやっていける」という自己効力感を生んだ。
その感覚が「もっと泳ぎたい」という動機につながり、
「プール行きたい!」「海行きたい!」という
行動を生み出しました。
「できた体験」が「自己効力感」を育て、
「自己効力感」が「内発的動機」を強める——
この連鎖が、「できる→好き」の正体です。
「楽しい」は「できた」の後にやってくることがある
「楽しいから続ける」というのが内発的動機の典型ですが、
「楽しい」そのものが「できた」体験の後にやってくることがあります。
水泳を始めたとき、
「楽しいから水泳を続ける」ではなく、
「続けていたら泳げるようになって、楽しくなった」。
「楽しい」が動機ではなく、
「楽しい」が結果として生まれた——
この順番もあり得ます。
「好き」より「できた」の方が先のこともある
「好きなものを見つけてから始める」という
考え方もありますが、
「やってみたら、できるようになって、好きになった」
という体験もある。
どちらが良い悪いではなく、
「どちらの順番もある」と知っていると、
子育ての幅が広がります。
「できる→好き」の連鎖を実際に見た夏
水泳の前と後で変わったこと
去年の夏と今年の夏では、
プールや海への関心がまるで違いました。
去年:プールに連れていっても「まあいいかな」くらいの反応。
今年:「プール行きたい!」「もっと行きたい!」
唯一変わったことは「泳げるようになった」だけ。
「泳げる」が「楽しい」に変わり、
「楽しい」が「行きたい」に変わった。
「泳ぐところ見て!」という変化
「泳ぐところ見て!」と言うようになった。
去年は言わなかった言葉です。
「見せたい」という気持ちが生まれたということは、
「自分の泳ぎに誇りが持てるようになった」ということ。
自己効力感が「見せたい」という表現欲求まで
育てていきました。
「できる」が広げた夏の行動範囲
市民プールへ行く。
大きなプールへ行く。
海へ行く。
友達と一緒に泳ぎに行く。
「泳げる」というひとつの「できる」が、
夏の行動範囲をここまで広げてくれました。
「できる」は扉を開くものだと、
改めて感じた夏でした。
「できる→好き」の連鎖を育てるための3つの視点
視点1:「最初から好きじゃなくていい」と思っておく
子どもが最初に「好き!」と言わなくても、
「やってみたら好きになるかもしれない」という
可能性を開けておく。
「好きじゃないからやらせなくていい」という判断を
少し先送りにしてみる。
「ちょっとできるようになるまでやってみよう」という
姿勢が、「できる→好き」の連鎖を生み出す余地を作ります。
視点2:「できた瞬間」を全力で受け取る
「できた!」という瞬間を全力で受け取ることが、
自己効力感を強化します。
「泳げた!」という瞬間の親の反応が、
「自分はできるんだ」という感覚の強化につながります。
評価するのではなく、
「できたんだね」という事実を受け取るだけでいい。
視点3:「できた」の次の一歩を一緒に考える
「泳げるようになった」という「できた」の後に、
「次はどこに行きたい?」「次は何を試したい?」と聞く。
「できた」を次の「やってみたい」につなげる問いかけが、
「できる→好き→さらに挑戦」の連鎖を生み出します。
「できるから好きになる」という連鎖が、子どもの世界を広げる
「好きだから得意になる」だけじゃなく、
「できるようになったからもっと好きになる」という
順番もある。
泳げるようになったら夏が変わった今年の体験が、
その連鎖を鮮やかに見せてくれました。
アドラーが言う「自己効力感」——
「自分はできる」という感覚——が育つとき、
「もっとやりたい」という内発的動機が生まれ、
「もっと好きになる」という連鎖が起きていきます。
子どもが「最初から好き」でなくても、
「できるようになった体験」から
好きが育つことがある。
その可能性を信じながら、
子どもの「できた」を全力で受け取っていきたいと思っています。


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