やる気があるのに、どうにもできない夜
夏休みも残りわずかになってきました。
長男(小4)には、星を観察する宿題が残っています。
ところが、雨、雨、雨。
4日連続で、夜になると天気が悪くて
星がまったく見えない。
「今日もできない…」
ついには泣いてしまいました。
やる気はある。宿題もやりたい。
でも、空が曇っていて星が見えない。
自分にはどうにもできない。
泣いている長男を見ながら、
「これも宿題の一部なのかもしれない」と思いました。
この記事では、アドラー心理学の「課題の分離」という視点から、
子どもが「思い通りにいかない」に出会ったとき、
何を学び、親はどう関わればいいかを考えます。
「思い通りにいかない」は、なぜ大切な体験なのか
学校の問題には「正解がある」
算数のドリル、漢字の練習、理科の実験。
学校の宿題の多くには「正解がある」か、
「努力すればできる」という構造があります。
「やればできる」「頑張ればなんとかなる」という体験は
大切ですが、それだけでは出会えない体験があります。
「頑張っても、どうにもならないこと」との出会い
「自分ではどうにもならないこと」に出会う体験は、
人生の中でとても重要です。
天気は変えられない。
他人の気持ちは変えられない。
過去は変えられない。
こういった「変えられないもの」と
どう向き合うかを学ぶことは、
問題の正解を出すことと同じくらい、
あるいはそれ以上に大切な力を育てます。
「どうする」を考える力が育つ
「思い通りにいかない状況」に出会ったとき、
「じゃあどうするか」を自分で考える力が育ちます。
雨で星が見えないとき——
「晴れるのを待つ」という選択。
「曇っていても今日の空の様子を記録する」という選択。
「先生に状況を相談してみる」という選択。
どれも「星が見えない」という状況は変わらないけれど、
「自分にできること」を考えた結果です。
この「できることを探す」という力こそが、
「思い通りにいかない」から生まれる一番の学びだと思います。
アドラー心理学が教える「課題の分離」と「変えられること・変えられないこと」
「変えられることとそうでないことを分ける」
アドラー心理学の「課題の分離」は、
「自分の課題と他者の課題を分ける」という視点で語られますが、
もう少し広く「変えられることと変えられないことを分ける」
という視点でも使えます。
星の観察の宿題において——
変えられないこと:天気、空の状態
変えられること:記録の方法、先生への報告、今日できることを探す姿勢
「変えられないこと」に対してエネルギーを使い続けると消耗します。
「変えられること」に意識を向けると、前に進めます。
「目的論」で「今日の空」を見る
アドラーの「目的論」の視点では、
「なぜ星が見えなかったか(原因)」より
「今日、何ができるか(目的)」に目を向けます。
「今日は曇っていて星が見えなかった」という事実も、
「天候の記録として残す」「次の晴れの日のために準備する」
という目的に変えられます。
「できなかった日も、観察日誌の一部」という視点が、
宿題の意味を変えてくれます。
「感情を受け取ってから、次を考える」
泣いている長男に「じゃあこうしよう」と
すぐ解決策を出すより、
「悔しかったね、やりたかったのにできなかったんだね」と
感情をまず受け取ること。
アドラーが言う「勇気づけ」は、
感情を受け取ることから始まります。
感情を受け取ってもらえた後で初めて、
「じゃあ今日できることを考えよう」という話が
子どもの心に入っていきます。
泣いた夜に、一緒に考えたこと
「悔しかったね」と受け取った
「今日もできない…」と泣いた長男に、
まず「悔しかったね」と言いました。
「星が見たかったのに、見えなかったんだね」と
受け取っただけ。
解決策も、励ましも、まずいらなかった。
しばらくして、長男が少し落ち着いてきた。
「今日の空の様子を書いてみたら?」
落ち着いてきたところで、
「今日の空の様子を書いてみたら?」と言いました。
星は見えなかったけど、
「今日は厚い雲がかかっていた。雨が続いている。」
という記録は残せる。
「できなかった日も、観察日誌の一部になるかもしれない」と。
長男はしばらく考えて、「そうする」と言いました。
「晴れたらすぐ見に行けるように準備しておこう」
観察道具と懐中電灯を、すぐ使えるところに準備した。
「晴れたときにすぐ動けるように」という準備は、
長男自身がやりました。
「今日できること」を自分で見つけた瞬間でした。
「思い通りにいかない」に出会ったとき、親ができる3つのこと
1:感情を先に受け取る
「なんとかする方法」より先に、
「悔しかったね」「やりたかったのにできなかったんだね」と
感情を受け取る。
子どもが「わかってもらえた」と感じてから初めて、
「じゃあどうするか」の話が聞こえるようになります。
2:「変えられること」を一緒に探す
「天気は変えられない」という事実は認めながら、
「じゃあ今日できることはある?」と一緒に考える。
答えを出すのは子ども自身。
親は「そういう視点もあるよ」という問いかけだけでいい。
3:「うまくいかなかった日も記録だ」という視点を渡す
「できなかった日」を失敗として見るより、
「今日の状況を記録した日」として見る。
この視点の転換を、言葉でさりげなく渡す。
「曇っていた日も、観察日誌の一部になるかもしれないね」
この一言が、子どもの「じゃあ書いてみようか」につながることがあります。
「思い通りにいかない」が、一番大切な宿題かもしれない
やる気があるのに、どうにもできない夜。
「今日もできない…」と泣いた長男を見て、
これも夏休みの宿題のひとつなのかもしれないと思いました。
問題を解くことだけが学びじゃなくて、
「自分にはどうにもならないこと」に出会って、
感情を経験して、
「それでも今日できることを探す」という力を育てること。
アドラーが言う「課題の分離」——
変えられることに意識を向ける——は、
こういった体験の中で、少しずつ子どもの中に育っていきます。
晴れてくれ、と心から願いながら、
それでも「今日の空の様子を書いた長男」を
誇らしく思った夜でした。

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