「運動習慣をつけさせたい」と思うと、うまくいかない理由
子どもに運動習慣をつけてあげたい。
健康のため、体力のため、
大人になってからの基盤のため。
多くの親御さんが思うことだと思います。
でも「習慣にさせよう」と考えると、
どうしても「やらせる」という発想になりやすい。
決まった時間に体を動かさせる。
習い事を始めさせる。
「今日は外で遊びなさい」と言う。
これで続くこともありますが、
「やらされている感」が出てくると
子どもの動きは止まりやすくなります。
私が3人の子どもを見ていて気づいたのは、
「習慣を先につくろうとするより、
『楽しい!』という感覚を先に作る方が、
結果的に長く続く」ということです。
この記事では、アドラー心理学の「内発的動機」という視点から、
子どもが自分から体を動かすようになる仕組みを考えます。
なぜ「やらせる」では続かないのか
「外発的動機」は短命になりやすい
「やらないと怒られる」
「習い事に行かないといけない」
「毎日やると決めたから」
これらはすべて「外発的動機」——
外側からの力によって動く動機です。
外発的動機は短期的には効果がありますが、
その強制力がなくなると行動が止まりやすい。
「大人になったら運動しなくなった」という人の多くは、
子どもの頃の運動が外発的動機だったケースが多いかもしれません。
「やらされた体験」は運動を嫌いにすることがある
無理にやらせると、
「運動=嫌なもの」という感覚が育つことがあります。
体育の授業で恥をかいた体験、
習い事でうまくいかなくて続かなかった体験、
毎日やらされてうんざりした体験。
こういった「やらされた記憶」が積み重なると、
大人になっても「体を動かすこと」が
遠くなっていくことがあります。
「楽しい」が先に来ると全然違う
一方で「楽しい!」という体験が先に来ると、
子どもは誰に言われなくても動き始めます。
長男(小4)がサッカーを毎日やっているのは、
「やらなきゃ」ではなく「やりたい」だから。
次女(小2)がプールに行きたがるのは、
「運動しなさい」と言われているからではなく、
水で遊ぶのが「楽しい」から。
「楽しい」から始まった動機は、
誰かに管理されなくても続きます。
アドラー心理学が教える「内発的動機」と運動の関係
「内発的動機」が習慣を生む
アドラー心理学では、
「内発的動機」——自分の内側からの「やりたい」——が
人を動かす最も強い力だと考えます。
「楽しいからやる」
「好きだからやる」
「もっとうまくなりたいからやる」
このような内側からの動機から生まれた習慣は、
外側からの管理がなくても続いていきます。
運動習慣をつけたいなら、
まずこの「内発的動機の種」を植えることが先決です。
「目的論」で子どもの運動を見る
アドラーは「目的論」の心理学です。
「なぜ運動するか(原因)」ではなく、
「何のために運動するか(目的)」で行動を捉えます。
「健康のため」「体力のため」という親の目的と、
「サッカーが楽しいから」「友達と一緒に走りたいから」という
子どもの目的は違います。
子どもが自分の「目的」を持てたとき、
運動は義務から喜びに変わります。
「共同体感覚」が運動の楽しさを広げる
「一緒にやれる人がいる」という感覚が、
運動の楽しさを何倍にもします。
友達と一緒にやるから楽しい。
親と一緒に体を動かすのが嬉しい。
チームで目標に向かうのが面白い。
アドラーの「共同体感覚」——
「つながっている」という感覚——は、
運動を継続させる力にもなります。
「楽しい!」の入り口は子どもによって違う
習い事から入る
スイミング、サッカー、体操、空手、ダンス。
習い事は「楽しい!」の入り口になり得ます。
ただし「やらされて行く習い事」ではなく、
「やってみたいと思って始める習い事」の方が、
内発的動機につながりやすい。
「どれかやってみる?」と選択肢を与えて、
子どもが選んだものを試してみる。
長男がスイミングスクールを続けられたのも、
「水泳を好きになりたい」という自分の意志があったからだと思います。
親子で一緒に体を動かす
キャッチボール、サイクリング、散歩、プール。
親が楽しそうに体を動かしている姿を見ることで、
「体を動かすことは楽しいものだ」という感覚が
子どもに伝わります。
「運動しなさい」と言うより、
「一緒にやろう」の方が、
子どもの「楽しい!」を引き出しやすい。
スポーツ観戦・テレビで試合を見る
長男がサッカーを深く好きになったきっかけのひとつは、
W杯の試合をテレビで見たことでした。
「あの選手みたいになりたい」という憧れが、
「もっと練習したい」というエネルギーになる。
観戦や視聴は「やらせる」とは全く違いますが、
「楽しい!」の種を蒔く有力な方法のひとつです。
日常の遊びの中に運動が入っている
鬼ごっこ、缶蹴り、縄跳び、かくれんぼ。
「これは運動です」という意識のない遊びの中に、
実は十分な運動が含まれていることがあります。
「運動習慣をつけなきゃ」と考えすぎずに、
「今日楽しく体を動かせたか」を基準にする。
この視点の転換だけで、
子どもとの関わり方が変わってきます。
3児パパが気づいた「それぞれの楽しいの形」
長男(小4):サッカーという完全な内発的動機
長男の場合、サッカーは完全に内発的動機で動いています。
誰にも言われていないのに朝からボールを蹴る。
練習に行くのを楽しみにしている。
W杯をほぼ全試合チェックする。
これは「運動習慣をつけさせた」のではなく、
「楽しい!の入り口」がうまくできたからだと思っています。
長女(小6):体を動かすことより「誰かと一緒に」が動機
長女は「運動そのもの」より
「誰かと一緒に何かをする」ことが動機になりやすいタイプです。
友達と自転車で出かける、
家族でプールに行く、
誰かと一緒に歩く。
「体を動かすことが好き」ではなく
「一緒にいる人と何かをするのが好き」という形で
運動が日常に入っている。
これも立派な「楽しいの形」です。
次女(小2):とにかく体を動かすこと全部が楽しい
次女は何でも全力で体を動かします。
プールも、鬼ごっこも、縄跳びも、走ることも、
全部目が輝いている。
「運動習慣をつけよう」という意識は一切なく、
ただ体を動かすことが純粋に楽しい。
この「なんでも楽しい」という状態が、
一番健全な運動との関わり方かもしれません。
子どもの「楽しい!」を育てる4つの視点
視点1:「何が楽しそうか」を子どもに聞く
「何のスポーツやってみたい?」
「どんな運動が楽しそう?」
子どもが「楽しそう」と感じるものを一緒に探す。
親が決めた習い事より、
子どもが選んだ体験の方が続きやすい。
視点2:「うまくやること」より「楽しくやること」を優先する
運動を始めたとき、
「うまくなってほしい」という期待を前面に出しすぎない。
「楽しかった?」を最初に聞く。
「うまくできた?」は後でいい。
「楽しかった」が積み重なることが、
「また来たい」という継続につながります。
視点3:親自身が楽しそうに体を動かす
「運動しなさい」と言う前に、
親自身が楽しそうに体を動かす姿を見せる。
子どもは「楽しいもの」に引き寄せられます。
親の「楽しそう」は、最高の動機づけになります。
視点4:「今日楽しく体を動かせたか」を基準にする
「今日○分運動した」より
「今日楽しく体を動かせたか」を基準にする。
この基準の転換が、
「運動=義務」ではなく
「運動=楽しいもの」という感覚を育てます。
「楽しい!」が先、「習慣」は後からついてくる
子どもに運動習慣をつけたいなら、
「習慣をつけさせよう」より先に
「楽しい!と思えるきっかけを作ること」が大切です。
好きになれば、子どもは自分から動き始めます。
習い事でも、親子での運動でも、スポーツ観戦でも、
日常の遊びでも。
何かひとつ「楽しい!」の入り口を作ること。
それが、長い目で見た
「運動が好きな子どもを育てる」
最初の一歩だと思っています。


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